戸塚パルソ通信@メール 第165号
戸塚宿を行く(歴史探訪)
vol086
戸塚の絶景を歌にする戸塚十勝
戸塚十勝

「戸塚十勝」は、戸塚の名勝・絶景を詠んだ10首の歌です。
幕末から、明治に活躍した歌人・内田永保の作で、現在では見られない光景もありますが、往時を偲んで味わってみてはいかがでしょうか。
※歌をもとにAI生成した画像をご覧ください
「海蔵の晩鐘」
"入相の かねのひゝきに いそくらむ やゝ暮れかゝる 野路の旅人"
入相の鐘の響き(夕暮れ時の鐘の音)に「いそ 暗む」(早々と暗くなる)と「急ぐらん」(足を早める)。やや暮れかかる、野路の(宿場から外れた路)の旅人。
戸塚宿に泊まらない旅人が、海藏院の夕べの鐘を聞いて、次の宿場へと急ぐ光景です。
「和田の落雁」
"月きよみ つはさならふる かつさへも あらはれおつる 和田のかりかね"
清い月明かりの中、つばさ習うる(並べる・前に従う)雁の群れが現れては着地してゆく。そこは和田のかりがね(仮の宿・雁の寝床・かりがね=雁)だ。
「磯崎の夜雨」
"磯崎の 松のあらしの おとふけて 田つらをめくる 夜半のむらさめ"
磯崎の松が、強風にざわついている。田んぼには村雨(にわか雨)が叩きつけてきている。
「清水山櫻松」
"千代経とも つきぬ清水の 山櫻 松にやとりて 咲き似ほひつゝ"
1000年過ぎても清水が尽きることがない山だ。(もう散ってしまった)山桜も、(常緑の・枯れない)松に宿っているのだよ。桜が咲いているように(咲き似ほひ)見えないか?(咲匂いつつ=満開だ)。
「南向山賞月」
"秋の夜の 月にのほれは 五百しろの 田つらをてらす かけのさやけさ"
秋の夜。月が昇って、500を越える(ものすごくたくさん)田の稲穂を照らしている。地面に落ちる影の清らかさよ。
「新澤の流蛍」
"つきかけの いたらぬ澤の 木かけをも てらすは夜半の 蛍なりけり"
この沢は月の光も届かない。それなのに陰のところが照らされている、と思って見れば、それは夜半の蛍の光だった。
「大日向暁鳥」
"明けからす なけともいまた 山の端の 梢に月の かけのゝこれる"
朝焼けにカラスが鳴く。それなのに山の端の木の梢には(夜の)月の影が残っている(欠けた月が残っている)
「戸塚積雪」
"降りつもる 雪にうつる 朝日かけ きよきや神の 心なるらし"
降り積もった雪が朝日に照らされ輝いている。その清らかさ。神の心とはこういうものか。
「富士の晴嵐」
"たちおほふ 霞のころも かくしても 嵐に晴るゝ ふしのしはやま"
霞が、その姿を隠そうとしたのに、晴れの嵐が富士山の姿を表した。麓の芝山までくっきりと見える。
(大坂あたりから、富士を眺めた絵でしょうか)
■「清水山櫻松」(戸塚公園あたり)












